はっとり 将也 ブログ

自治の矜持

2026/6/5

 法律が改正され、自治体に新たな施設の設置義務が生じたとします。しかし、その自治体が以前から実質的に同趣旨の施設を設置・運営しており、法改正後も新設ではなく、“法的位置づけ”を与えることで対応できたとすれば――私は、それを自治体の先進性として評価してよいと思います。

 本年4月1日に施行された「高次脳機能障害者支援法」により、都道府県および指定都市には、高次脳機能障害者支援センターの設置が求められることとなりました。高次脳機能障害とは、脳卒中や交通事故などによる脳への損傷によって生じるもので、記憶障害、注意障害、失語症などの症状があります。外見からは分かりにくく、本人自身も障害を自覚しにくい場合があるため、周囲の理解を得にくく、社会生活に支障を来しやすい障害です。

 実は名古屋市では、総合リハビリテーションセンターにおいて、法に規定される高次脳機能障害への専門的な相談支援などを、従前から実施してきました。このたび6月1日から、こうした既存機能を「なごや高次脳機能障害支援センター」として位置づけ、引き続き医療・福祉などの関係機関と連携しながら支援を継続していくとしています。

 現在も設置準備を進めている自治体が少なくない中、名古屋市は結果として、国に先んじた課題認識を有していたと言えるのではないでしょうか。それは単なる「法改正への対応」にとどまるものではありません。自治体として積み重ねてきた現場感覚や政策形成能力が、具体的な形となって活きた結果とも言えましょう。

 自治体の現場では、国の制度化に先立ち、実務上の必要性から取り組みが始まっていることがあります。私が以前から所管委員会などで質問し、取り組んできた「寡夫」支援も、その一つです。タイトルの“自治の矜持”とは、教育子ども委員会において「寡夫」支援の充実を求めた質問(2018〈平成30〉年10月11日)をした中で、私がとっさに発した言葉ですが、母子・父子家庭や寡婦への配慮に比べ、性別のみを理由として支援が手薄だった寡夫に対し、この質問の後、名古屋市はそれまでの「母子・父子および寡婦」を対象としたものに加え、全国的にも珍しい「寡夫」を対象とした福祉資金貸付金制度を創設し、運用を開始しています。

 以前、私は「地方行政は、突き詰めれば、あらゆる分野で国政との調整を避けて通れません」と書いたことがあります。そうした窮屈さの中にあっても、自治体だからこそできることがある――。そう信じながら、これからも市政に参画していきたいと思います。

 

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著者

はっとり 将也

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肩書 名古屋市会議員(北区)
党派・会派 立憲民主党

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