2026/6/12
2026年4月から、「こども誰でも通園制度」が全国で本格的に始まりました。
正式には「乳児等通園支援事業」といい、保護者が働いているかどうかにかかわらず、保育園などに通っていない乳幼児が、一定時間、保育施設を利用できる制度です。
川越市でも2025年度に試行的な事業が行われ、2026年4月から本格実施へ移行しました。
私自身も子育て中の父親として、子どもが家庭以外の人や環境と触れ合う機会が増えること、そして保護者が社会から孤立しないための選択肢が増えることには、大きな意義があると感じています。
一方で、「制度がある」というだけでは十分ではありません。本当に使いたい家庭が使える制度になっているのか、今後の運用を丁寧に確認していく必要があります。
川越市の対象は、利用日時点で生後6か月から満3歳未満で、認可保育所や認定こども園などに通っていない子どもです。
通常の保育園では、保護者の就労や病気、介護など「保育を必要とする理由」が入園の要件になります。
これに対して、こども誰でも通園制度では、保護者の就労要件は問われません。
専業で子育てをしている家庭、育児休業中の家庭、短時間だけ働いている家庭なども対象になり得ます。
川越市では、子ども1人につき月10時間まで利用でき、料金はおおむね1時間300円です。施設によっては食事代などが別途必要となり、世帯の課税状況などによる減免もあります。
利用する際は、市への認定申請を行い、専用の「つうえんポータル」に子どもの健康状態やアレルギーなどを登録します。その後、利用したい施設ごとに初回面談を受け、予約する流れです。
川越市は2025年度当初予算に、乳児等通園支援事業として3,375万3,000円を計上しました。
当時は、2026年度からの全国実施を見据え、事前に利用者のニーズや運営上の課題を確認するための試行という位置付けでした。
2026年4月1日時点では、市内10施設で実施されています。
内訳は、公立保育園2施設、私立保育園7施設、私立認定こども園1施設です。
ただし、受け入れ可能な年齢、曜日、時間、給食の有無などは施設ごとに異なります。「制度上は対象なのに、近くの施設ではその年齢を受け入れていない」ということもあり得るため、利用前の確認が必要です。
この制度は、保護者の負担を軽くすることだけを目的としたものではありません。
家庭で過ごしている子どもが、保育士や同年代の子どもと接し、家庭とは異なる遊びや生活を経験することも重要な目的です。
また、保育施設との接点が生まれることで、保護者が子どもの発達や育児の悩みを相談しやすくなる可能性もあります。
乳幼児期は、家庭の状況が外から見えにくい時期です。定期的に第三者とつながることは、保護者の孤立や育児不安の深刻化、子どもの発達上の課題などを早期に把握するきっかけにもなり得ます。
私は、この「子育て家庭を孤立させない」という点に、制度の大きな価値があると考えています。
現在の利用上限は、子ども1人につき月10時間です。
週に直すと、おおむね2時間から3時間程度にすぎません。
子どもが新しい環境や保育士に慣れるまでには、ある程度の継続利用が必要です。月10時間という枠で、子どもの育ちを支える継続的な通園が実現できるのかは、検証が必要でしょう。
保護者の負担軽減という面でも、通園準備や送迎時間まで考えると、「月10時間では使いにくい」と感じる家庭が出てくることが予想されます。
制度開始時点の上限としては理解できますが、実際の利用状況や利用者の声を確認した上で、時間数の見直しを国に求めることも必要になるかもしれません。
川越市内では10施設が実施していますが、市内全域に均等に配置されているわけではありません。
乳幼児を連れて公共交通機関で移動することは、想像以上に負担が大きいものです。制度を使いたくても、自宅の近くに施設がなければ利用は難しくなります。
また、実施施設の多くでは、通常保育の定員に空きがある場合に受け入れる「余裕活用型」が採用されています。
この方式では、通常の保育園利用者で定員が埋まると、こども誰でも通園制度の受け入れができなくなる場合があります。
つまり、実施施設として名前が掲載されていても、常に予約できるとは限りません。
大切なのは、施設数だけではなく、実際に何時間分の予約枠が提供され、希望した家庭がどの程度利用できたのかという実績です。
今後、川越市には少なくとも次のような情報を定期的に公表してほしいと考えます。
登録した子どもの人数、実際に利用した子どもの人数、延べ利用時間、施設ごとの予約枠と利用率、予約できなかった件数、利用者アンケート、保育現場の負担や人員配置の状況などです。
現時点の市の制度案内では、利用条件や施設情報は掲載されていますが、登録児童数や利用率などの運用実績は確認できません。
試行したこと自体を成果とするのではなく、「どれだけ利用され、子どもや保護者にどのような変化があったのか」まで検証する必要があります。
税金を使う事業である以上、制度の効果をデータで市民に説明することも行政の責任です。
私は、こども誰でも通園制度の方向性には賛成です。
子育てを保護者だけの責任にせず、地域や保育施設、行政が一緒に子どもの成長を支える。そのような考え方は、これからの少子化社会に必要です。
特に、保育園に通っていない家庭は行政や保育施設との接点が少なくなりやすく、困り事があっても周囲から見えにくいという課題があります。
定期的に家庭以外の場所につながる仕組みは、子どものためにも保護者のためにも重要です。
ただし、月10時間という利用枠、施設の地域的な偏り、予約枠の確保、保育士の人材不足など、実施上の課題は少なくありません。
「制度を始めました」で終わらせるのではなく、実際に使った家庭と保育現場の声を集め、改善を続けることが大切です。
川越市には、利用実績と課題を積極的に公開し、本当に必要な家庭が無理なく利用できる制度へ育ててほしいと思います。
私も、一人の子育て中の父親として、そして市政をチェックする市民として、この制度の運用を引き続き注視していきます。
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トクミヤ ユウキ/32歳/男
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