2026/5/19


はじめに ── 「人生100年時代」の象徴的な現場へ
先日、八王子市の東京都立大学 南大沢キャンパスを訪れ、「東京都立大学プレミアム・カレッジ」を視察してまいりました。
「生涯学べる100歳大学」――その触れ込みに惹かれて訪ねたこのカレッジは、想像をはるかに超える熱気に満ちた、50歳以上の方々のための本格的な学びの場でした。
リンダ・グラットン教授の『LIFE SHIFT』が日本中で話題になってからもう数年。「人生100年時代」という言葉は、すっかり日常に溶け込みました。
東京都が2019年に開講したこのプレミアム・カレッジは、まさに東京都の「生涯現役社会」構想を具現化した象徴的な事業であり、本日はその現場で見てきたこと、感じたことを、できるだけありのままにお伝えしたいと思います。
そして何より、この記事を通じて、「もう一度、学んでみようか」と心が動いた皆さまに、ぜひ来年度の出願を検討していただきたい――そんな願いを込めて、筆を進めます。
1. プレミアム・カレッジとは ── 「学び直し」を超えた、本気の大学体験
東京都立大学プレミアム・カレッジは、2019年4月に開講した、50歳以上の方々を対象とする履修証明プログラムです。「リカレント」「学び直し」という言葉ではどうも収まりきらない――というのが、視察を終えての率直な感想です。
◆ 一言でいうと
総合大学の本物の教授陣による、東京を丸ごとフィールドにした、1〜4年制の本格カレッジ
しかも、年額の受講料は20万円のみ(入学料なし)。一般の大学の学費と比べると、極めて志の高い公共投資であることがおわかりいただけると思います。
◆ 3段階で深まる学びのステップ
| ステップ | 期間 | 募集人員 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 本科 | 1年目 | 55名程度 | 必修・選択・アディショナル科目を体系的に履修。ゼミ所属+修了論文 |
| 専攻科 | 2年目 | 30名程度 | 本科で履修できなかった科目を学び、より深いゼミ研究へ |
| 研究生コース | 3〜4年目 | 最大15名程度 | 担当教員の少人数指導の下、自主的・主体的に専門研究 |
最長4年間にわたって学び続けられる設計。1年で終わらせるのではなく、深めたい人にはしっかり深めさせるというこの設計思想こそ、このカレッジの特色だと感じました。
2. 視察で実際に見てきたこと
◆ 緑あふれる南大沢キャンパス ── 「居るだけで癒される」
京王相模原線・南大沢駅から徒歩5分。駅前の都市的な賑わいから一転、キャンパスに足を踏み入れると、煉瓦色の校舎と豊かな緑が広がります。
在学生の方々が口々に語る「居るだけで癒される」という評判。その意味が、訪れた瞬間によくわかりました。学ぶ環境としての美しさは都内の大学キャンパスの中でも屈指のものです。50代・60代・70代になってから、こんな環境で再び学生証を手にできることは大きなやり甲斐につながります。
◆ カリキュラムテーマは「首都・東京をフィールドに学ぶ」

このカレッジの大きな特徴は、統一カリキュラムテーマです。
「首都・東京をフィールドに学ぶ ~江戸・東京そしてTOKYOへ~」
伝統と革新が共存する首都・東京を、歴史・心理・社会・自然・土木・環境といった多角的な視点から学ぶ。例えば――
- 小笠原の自然保全を学ぶ自然科学の授業
- トンネル・橋梁などの土木工学
- 江戸文化と現代TOKYOを結びつける歴史・社会学
- きらぼし銀行による金融講座(アディショナル科目)
文系・理系の壁を取り払った、総合大学ならではの文理融合カリキュラムが、ここでは現実のものになっています。
◆ 「フィールドワーク」── ここでしかできない学び
そしてもうひとつ、視察で印象的だったのがフィールドワークの充実度です。
- 環状七号線地下調節池の視察(首都を水害から守る巨大地下空間)
- 東京の島嶼部での合宿型自然体験学習
- 都の各種施策の最前線を活用した現場学習
東京都立大学が東京都が設置した唯一の公立大学法人であるからこそ実現できる、他大学では経験できない学びの機会です。教室での講義だけでなく、「五感で理解する」――この理念が具現化されていました。
3. 「世代を超えた交流」がもたらすもの
視察中、教員から何度も言及があったのがカレッジ生の方々と学部生・大学院生との交流についてでした。
カレッジには、学部生・院生がカレッジアシスタントとして参加し、IT支援や授業サポートを行っています。一部の学部授業はカレッジ生も受講可能で、60代の受講生と20代の学部生が肩を並べて学ぶ光景が、ごく自然に広がっています。
少子高齢化社会において、世代間の分断ではなく、世代間の協働こそが大切だと、改めて実感した瞬間でした。
4. 都議会での議論と政策的位置付け
議員の立場から、少し政策的な背景にも触れておきます。
このプレミアム・カレッジは、平成30年第1回都議会定例会において制度創設の方針が示されて以来、都議会で継続的に議論されてきた重要施策です(都議会だより327号)。
特に重要な論点は、「学んだことをいかに地域・社会へ還元する仕組みをつくるか」という点。総務局長は当時、「新たに学んだことを地域活動等で社会へ生かす仕組みを整えていく」と答弁しており、学びの個人完結ではなく、社会的還元こそがこの事業の核心であることが明確に示されています。
令和6年7月には、小池百合子知事自らが南大沢キャンパスを視察し、「今後も充実させていく」と明言。都政の優先施策として、今後さらに発展していくことが見込まれます。
5. 倍率と募集状況
さて、これから挑戦してみたいと考える皆さまに、現実的な応募データをお伝えします。
| 年度 | 募集人員 | 出願者数 | 最終合格 | 倍率 |
|---|---:|---:|---:|---:|
| 2019(初年度) | 50名 | 329名 | 53名 | 6.2倍 |
| 2022 | 50名 | 205名 | 54名 | 3.8倍 |
| 2024 | 55名 | 185名 | 56名 | 3.3倍 |
| 2025 | 55名 | 161名 | 55名 | 2.9倍 |
| 2026 | 55名 | 155名 | 55名 | 2.8倍 |
開講初年度こそ6倍を超える狭き門でしたが、近年は2.8〜2.9倍程度に落ち着いています。決して簡単ではありませんが、しっかり準備をすれば十分に挑戦できる水準です。
これは裏を返せば、「カレッジの素晴らしさが、まだ十分に知られていない」ということでもあります。視察を終えて、私はこの認知ギャップに、もどかしさすら覚えました。こんなに素晴らしい場が、年額わずか20万円で開かれているのです。
6. 来年度(令和9年度)応募を検討される皆さまへ
なお、令和8年度(2026年度)入学の出願受付は2025年11月25日をもって終了しています。これから挑戦される方は、令和9年度(2027年度)入学を視野に、今から準備を進めるのがおすすめです。
◆ 出願に向けた基本要件(直近実績)
- 出願資格:当該年度の3月31日現在で50歳以上、高等学校卒業またはそれと同等とみなせる方
- 選考方法:
- 一次選考:小論文(1,500〜2,000字/志望理由・学びたいこと・社会への還元などを論理的に)
- 二次選考:面接(南大沢キャンパスで20分程度)
- 選考料:10,000円
- 受講料:年額200,000円(入学料なし)
おわりに ── 「学び直し」ではなく「学び続ける」社会へ
視察を終えて、私は強く思いました。
「学び直し」という言葉は、もう古いのかもしれない。
人生100年時代に必要なのは、一度立ち止まって戻る学びではなく、走りながら学び続ける場ではないか。プレミアム・カレッジで出会った受講生の方々の輝く眼差しは、その答えそのものでした。
仕事を一線退かれた方、子育てが一段落した方、長年温めてきたテーマがある方、もう一度キャンパスの空気を吸いたい方――どんな入口から入っても、ここには確かに「次の章」が用意されている。そう確信しました。
そして政治の役割は、こうした素晴らしい場をより多くの方に届けること、そして修了後の活躍の場を社会に広げていくこと。私自身、議会の場でもこの事業のさらなる発展を後押ししてまいります。
「学んでみたい」と思ったその気持ちは、年齢には関係ありません。

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フクイ ユウタ/39歳/男
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