2026/5/17

就職氷河期世代支援は、単なる救済策ではありません。東京の行政を持続可能にするための、現実的な人材戦略です。
東京には、35歳から54歳の非正規雇用労働者が約84万人います。そのうち約8万人は、不本意ながら非正規で働いています。しかも、不本意非正規の人の約95%が年収400万円未満で、35歳から44歳では約半数が年収200万円未満です。一方で、35歳から44歳の47.2%、45歳から54歳の44.0%が、雇用形態を変えたい、より安定した仕事に就きたいと考えています。

これは、「働く意欲があるのに、安定した雇用の入り口が足りない」という問題です。だからこそ、リスキリングと採用機会の拡大を組み合わせ、就職氷河期世代の力を東京の公共サービスに生かしていくべきです。
若手採用だけでは、行政は支えきれない
いま、自治体の人材確保は全国的に厳しくなっています。地方公務員の受験者数は、平成24年度の58.4万人から令和3年度には44.0万人まで減少しました。競争率も8.2倍から5.6倍へ低下しています。
さらに、30歳未満の若手職員の離職者数は、2013年の1,564人から2022年には4,244人へと、9年間で2.7倍に増えました。
つまり、新卒中心の採用だけに頼る人材確保は、すでに限界が見え始めているということです。
総務省も、定年引上げの下でも継続的な採用を行い、若手・中堅・ベテランの年齢構成のバランスを取ることが重要だとしています。

就職氷河期世代の採用拡大は、困難を抱える世代への支援であると同時に、中堅の即戦力を確保し、技能継承と組織の新陳代謝を支える政策でもあります。支援策と行政改革を両立できる、数少ない現実的な政策の一つです。
国民民主党東京都議団は、3つの具体策を訴えます
① 行政職員のキャリア採用を拡大します
東京都ではすでに、経験者採用選考やキャリア活用採用選考が行われています。
事務、土木、建築、機械、電気、ICT、福祉、看護など、幅広い分野で中途・経験者を受け入れる仕組みがあります。
令和7年度の経験者採用では、事務301人、土木63人、建築15人、機械19人、電気30人などの採用予定が示されています。
これをさらに拡大し、就職氷河期世代を含む中堅人材の受け皿として強化すべきです。
民間経験、現場経験、生活経験を持つ人材が行政に加わることは、都政の実務力を高めることにもつながります。
② 自動車運転手養成枠の年齢を49歳に引き上げます
都営バスの運転手確保は、都民生活を支えるうえで欠かせません。
現在、東京都交通局では、免許保有者向けの運輸職員採用は19歳以上50歳未満で受験できますが、
養成枠は19歳以上40歳未満となっています。
意欲があり、健康状態や適性も十分で、リスキリングを通じて新たに運転職を目指せる人がいても、だからこそ、養成枠の年齢上限を49歳まで引き上げるべきです。免許保有者枠との整合性も取りやすく、就職氷河期世代に対する実効性の高いリスキリング型採用になります。人手不足対策と就労支援を同時に進める、極めて実務的な提案です。
③ 教員の免許猶予制度をさらに拡充します
教育現場でも、社会人経験のある人材の力が求められています。
東京都には、採用試験に合格した後、一定期間内に教員免許を取得すれば採用につながる免許取得期間猶予制度があります。この制度は、民間企業や他分野で働いてきた人が、教員を目指しやすくする重要な入り口です。だからこそ、免許取得期間猶予制度について、対象教科の拡大、周知の強化、学び直し支援、任用前講座の充実など、
さらに使いやすい仕組みに進化させるべきです。
リスキリングと年齢拡大で、支援と持続可能性を両立する
国民民主党東京都議団は、リスキリングと採用年齢の拡大によって、
就職氷河期世代支援と行政の持続可能性向上を同時に実現すべきだと考えます。
若手の採用はもちろん重要です。しかし、それだけでは足りません。
いま必要なのは、意欲と経験を持つ中堅世代にも、もう一度公の仕事に挑戦できる入口を広げることです。
就職氷河期世代の採用拡大は、過去の不遇を埋め合わせるためだけの政策ではありません。東京の行政、交通、教育を支える人材基盤を立て直し、都政の持続可能性を高めるための、未来志向の政策です。
参考資料
内閣府
「就職氷河期世代の就業等の実態や意識に関する調査報告書(2024年3月)」
https://www.cao.go.jp/shushoku_hyogaki/chosa/pdf/houkoku_2403.pdf
総務省
「令和6年地方公務員給与の実態」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/kyuuyo/pdf/R6_kyuyo_1_01.pdf
総務省
「地方公共団体における人材育成・確保基本方針策定指針」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000918405.pdf
総務省
地方公共団体の人材確保に関する資料
https://www.soumu.go.jp/main_content/000947258.pdf
東京都職員採用サイト
経験者採用選考
https://www.saiyou2.metro.tokyo.lg.jp/pc/selection/rw07/section-mid.html
東京都職員採用サイト
キャリア活用採用選考
https://www.saiyou2.metro.tokyo.lg.jp/pc/selection/rw07/section-ca.html
東京都交通局
交通局運輸系職員採用選考の内容見直し
https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/pickup_information/news/toden/2025/tdn_p_2025041111992_h.html
東京都交通局
都営バス運転手養成枠 採用案内
https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/information/career/toei/recruit/recruit02_20200601_02.html
東京都公立学校教員採用ポータル
転職者向け制度案内
https://www.kyoinsaiyopr.metro.tokyo.lg.jp/jobchange/system.html
東京都教育委員会
教員免許に関する案内
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/staff/kyoinsenko/m_yuukou
この記事をシェアする
フクイ ユウタ/39歳/男
ホーム>政党・政治家>福井 ゆうた (フクイ ユウタ)>就職氷河期世代採用は「救済策」ではない。東京の行政を持続可能にする「人材戦略」です