白川 愛 ブログ

草の根交流という便利な言葉

2026/6/9

昨今の日中関係の影響により、目黒区の友好都市である東城区から『北京市からの派遣同意が得られないため参加が困難』との連絡があったことが本日、議会に報告されました。

私はこれまで幾度も、目黒区の海外友好都市(中国と韓国のみ)三区間交流事業の在り方について議会で質問を重ねてきました。

思い返せば2019年、当時の大韓民国ソウル特別市チュンナングとの友好都市協定締結の際には、国際情勢や制度的リスクを踏まえた慎重な検討を求めましたが、その結果、ヤジと怒号が飛び交う議会で『事実誤認』との指摘まで受け議事録の削除を要求されました。

ところが今回、目黒区の友好都市である東城区(中国)は『北京市からの派遣同意が得られない』ことを理由に選手団及び代表団の参加ができなくなったと通知してきたのです。

少なくとも、自治体交流であっても国際情勢や相手国制度の影響を受けるという私の問題意識は、決して荒唐無稽なものではなかったのではないでしょうか。

これまで目黒区議会では、自民党の議員を中心に「議会の諸先輩方が育まれてきた実績を踏まえ、草の根の友好関係をさらに強固なものにしていく必要がある」「議会が温めてきた友好関係」「議会が承認してきた交流事業」等と「草の根交流の重要性」や「議会が育んできた友好関係」の意義が繰り返し語られてきました。

これ程までに、「草の根交流の重要性」を語っていた事業が、実際には「北京市から派遣同意が得られない」という行政判断によって左右されたのです。

それぞれの国の事情

友好関係があっても、相手国の制度や外交環境によって交流が実施できなくなることは現実に起こり得るという事実が今回示されたことになります。

日本と中国では地方自治制度や自治体の裁量権の範囲に違いがあります。

今回の事例は、こうした制度的な違いが交流事業の継続性にも影響し得ることを示したものではないでしょうか。

交流の意義そのものを否定はしませんが『交流を続ければ政治や外交を超越できる』という考え方には限界があると私は思っています。今後は、事業の持続可能性やリスクについても冷静に検証すべきだと思います。

『草の根交流』という言葉で両者が一括りにされ、本来検証されるべき事業コストや必要性の議論が曖昧になってはいないか。という点についても同様です。

今回の東城区の不参加は、友好関係そのものを否定するものではありません。

しかし、自治体交流であっても国際情勢や相手国の制度的制約の影響を受けることを示した事例であることは間違いありません。

私は2019年当時から、交流そのものではなく、国際情勢や制度的リスクを十分に検討しないまま友好都市事業を進めることに懸念を示してきました。

子どもたちや市民同士の交流の意義は認めます。しかし、「草の根交流」という言葉のもとで、事業の持続可能性やリスク、費用対効果の検証まで曖昧になってはならないと思います。

今回の出来事を機に、目黒区は交流事業の意義だけでなく、その前提となるリスクや制度的課題についても改めて検証すべきではないでしょうか。

交流の理念を語ることは大切です。しかし、税金を投入する事業である以上、その理念だけでなく、持続可能性やリスクについても検証することが議会の責務であると私は考えています。

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白川 愛

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肩書 目黒区議会議員
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